2018年4月19日

橋本助産院さんとは、私が5才のときに弟の出産に立ち会わせてもらったご縁があり、ここでの出産の体験を母がとても楽しそうに語るのを小さい頃から聞いていたため、もし自分が妊娠したらここで産みたいなあと(というより、そうするものだと笑)思っていました。今回妊娠が分かって、ドキドキしながら電話をかけると、20年近く前なのに「ああ、きりこちゃん!」と私たち家族のことを覚えていてくださり、とても嬉しかったです。十数年ぶりにお会いした橋本先生は私の記憶のままで、産院の雰囲気も当時と変わらず、ホッとする懐かしさと安心感を感じました。

妊娠初期に、夏風邪をこじらせてしまい、重ねてつわりと貧血になり… 病院に行くと色々と薬を出され、最初はできるだけ薬には頼りたくないなぁと飲むことに抵抗感がありましたが、「今は薬で数値を上げて、食事で維持していこう」と色々な面からアドバイスをくださる橋本先生の言葉はスッと入ってきて、しんどい時期も前向きに過ごすことができました。安定期以降は体調も整い、後期検診では貧血の数値も正常値内に!これでやっと安心して出産の日を迎えられるとホッとしました。私も夫も誕生日が3月末で満月も重なり、もしかしたら誕生日が同じになるかも!?でも学年は次のほうがいいか、などと産休に入ってからその日を心待ちにしていましたが、一切気配のない予定日は過ぎ…

最初は初産だしそんなものかなぁ、と笑って過ごしていたものの、正期産のリミットが見えてくるにつれ不安がつのり、悪いことばかり考えてしまっていました。何か問題があって出てこれないのでは… と意味もなくネットで調べては、もう赤ちゃんの元気な姿を見れないんじゃないか、橋本助産院で自然なお産ができないんじゃないか、と不安でいっぱいになって、夫に当たるようにして泣いた日もありました。

「生まれるタイミングは赤ちゃんが分かってるから大丈夫、今は待つ練習だと思って」「赤ちゃん元気だよー!」と、検診に行くたびに先生たちが励ましてくださることと、赤ちゃんの力強い胎動と心拍が確認できることが心の支えでした。なんとしてでも、元気な赤ちゃんを橋本助産院で産めるように!とこれまで以上に歩いたりスクワットをしたり雑巾かけをしたり… こんなに1日1日の重みを感じたのは初めてかもしれません。

予定日を過ぎて10日目の朝、ようやくおしるしらしきものが!焼肉を食べると陣痛か起こるらしいというジンクスに期待を込めて晩ご飯は焼肉へ。それが効いたのか朝起きるといつもの張りとは違うお腹の痛みが10分間隔くらいでありました。これは待ちに待った陣痛かも!と橋本先生に電話をし、いつでも出れるようにして間隔が短くなるのを待っていましたが、一向に縮まらずまた二日が過ぎ… ようやく間隔が一定になったのは18日の午後で日が暮れるにつれ痛みも強くなってきました。まだ早いかと思いつつも母に車を出してもらえるうちに… と21:00ごろ夫と一緒に向かわせてもらうことに。到着後、まだ自分で歩いて話せる様子の私を見て「まだ余裕ありそうやね。明日の朝くらいかなあ」とのことでした。その後、重水先生と久保先生も来てくださり、夫に代わって陣痛が来るたびにずーっと体をさすってくれたり励ましの声をかけてくださったり… 長期戦だったにもかかわらず一切疲れを見せずに寄り添い続けてくださり、本当にありがとうございました。ところがそこから一向に間隔は縮まらず、子宮口の開きも大きく変わらないまま朝を迎え、本陣痛が始まった24時間後の13:00までに変化がなかったら医療の力も借りる必要があるかも… と伝えられました。陣痛の痛みで疲れもつのり、もうなるようになるしかないか… と諦めも半分、受け入れる覚悟はできていました。でも、その後の内診で赤ちゃんの顔が少し上を向いているために出てこれないことが分かり、心拍と陣痛は安定しているので、いきむ力と重力とでなんとか向きを変えてみよう!ということに。まだ少しでも希望があるなら、やれること全部やろうと半分もうろうとしながらも先生たちと夫に支えてもらい四股踏みをしてしゃがんでいきむ、をひたすら繰り返しました。そして15:00の内診でドバッと温かいものが溢れる感触があって破水とわかり、子宮口も7cmくらいまで開いて来ているようでした。ずっと横でどうすべきか考えてくださっている様子だった橋本先生がこれならいけるかも!よし、頑張ろう!と言ってくださった時は、ああ、このままここで産めるんだ!とまた力が湧いてくるような気がしました。

陣痛間隔が3分を切ってからは、分娩台で仰向けでいきみ、先生たちの体を支えに思いっきり踏ん張らせてもらいました。何時間も全力の踏ん張りを受け止めていただき、今振り返ると恐縮です… もう痛いのと苦しいのと体力の限界なのとで、もうやめたい、誰か代わってー!!と発狂しそうでしたが、先生たちの「いいよ~!上手上手、あともうちょっとだよー!」の声と赤ちゃんの心拍が一度も落ちることなく元気に聴こえていることが、もう一回頑張ろうとどうにか折れそうな心を支えてくれました。

「頭見えたよー!あともう少し!」との声が聞こえ、ああもうすぐだ…!と思いきや何度いきんでも私のイメージとはかけ離れ、見えてるのはまだ直径3cmくらい…思わず「あとどれくらい!?」と聞いてしまうほど、本当にとてつもなく長くて痛くてしんどかったです… 最後はもうこの時間をなんとか終えることで頭がいっぱいで服が裂けようとどうにでもなれー!みたいな気持ちで無我夢中でいきんでいました。そして、にゅるんとした感触とともに元気な赤ちゃんの泣き声が。ずっと側で手を握り続けてくれていた夫が感極まって泣いているのを感じつつ、私自身は赤ちゃんが生まれた感動以上に「あー終わった…」という気持ちと、みんなが「元気やねー!綺麗な赤ちゃんだよー!」と笑顔で言ってくれるのを聞いて「無事だったんだ、よかったー」とただただそれだけを思っていました。

眠っているのを見て、ようやく実感が湧くと同時に涙が溢れて来て、元気に生まれてきてくれてありがとうーとひっそり幸せを噛み締めました。

本陣痛が始まってからほぼ30時間、マザークラスで聞いた「安産」とはかけ離れたお産でしたが、私にとっては何より安心できる環境で安心できる人たちの支えの中で出産できたこと、赤ちゃんが無事出てこれるようにそれ以外のことに余計な不安を感じる必要がなかったことが本当に心強かったです。

予定日を過ぎても一切兆候がなく陣痛がきてもなかなか子宮口が開かず、そして産後も大量に悪露が出て床が血まみれになるなど… たくさんご心配をおかけしました。ここで産めるようにと予定日を再調整したり、陣痛を促すお灸や運動を教えてくださったり、不安にならないよう温かく声をかけてくださったり… 何より赤ちゃんの生まれる力と私の産む力をギリギリまで信じて判断してくださったから、ここで出産できたんだと、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

産後の入院生活でも、母乳のことなど、こまめに気にかけていろいろ丁寧に教えてくださりありがとうございました。橋本先生が「今日は赤ちゃん夜中にぐずるかもね~」など言われたことはその予言通りになるので毎回驚かされました。

また、お忙しい中毎日栄養いっぱいの美味しいお食事をありがとうございました。これからの子育てでも悩みや不安は尽きないかと思いますが、ここでの経験を原点に先生方のように温かくこの子の育ちを見守っていけたらと思います。

長々とすみません…橋本先生、重水先生、久保先生、杉田さん、たくさんお世話になり本当にありがとうございました。